非特異的腰痛に対するアプローチを学ぶ

非特異的腰痛に対するアプローチを学ぶ

腰痛とは

常に上位の疾患であり、その60%が悪化する傾向にあると言われています。

今では、心理社会的なものともいわれるようになってきています。

定義としては
体幹の後面に存在し、第12肋骨〜臀部下端に出現する疼痛

原因としては、脊椎由来、神経由来、内臓由来、心因性など多岐にわたります。

特異的腰痛とは?

解剖学的に正常な状態から逸脱しており、それに対応した症状が認められるもの。
また、原因となる疾患が特定できるもの

例)腰椎すべり症、腰部脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニア

✔︎ 構造的破綻を修復することで改善する可能性がある

ここで知っておかなければいけない用語として”Red Flags”という専門用語があります。

Red Flagsとは”運動療法適応外の重篤な疾患を有する可能性を示す兆候”のことを意味します。

例)腹部大動脈瘤、脊椎感染、悪性腫瘍

⚠️専門医の診察・対応が必要であり、基本的には運動療法は対象外
 ※運動療法を行うことで、症状の悪化や場合によっては生命に関わることも・・・

非特異的腰痛とは

2012年の腰痛ガイドラインでは
『痛みは腰部に起因するが下肢に神経根や馬尾由来の症状がなく重篤な基礎疾患による症状を含んでいない腰痛』

2017年の腰痛ガイドラインでは
『明確な器質的異常や神経学的異常のない、心配しなくて良い腰痛

と定義が変更されています。

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心理社会的要因

腰痛は心理社会的なものとなってきていることは、初めの方に述べました。

腰痛の治療成績と遅延化は心理社会的因子が強く関連していると報告されています。

心理社会的要因として
鬱や心理的苦痛、恐怖の回避思考などがあります。

これらが急性腰痛から慢性腰痛へ移行する危険因子として挙げられおり、

・苦悩や抑うつは慢性腰痛への移行に関与

・恐怖の回避思考が強いと、復職定価や病欠率の上昇に関与 といった報告もあります。

文献紹介

・急性腰痛の患者さんは腰痛発症の12カ月後も30%が完全に回復していない
                (Hanschke et al BMJ 2008)

・急性腰痛患者さんは発症1カ月で疼痛の程度が約58%が急速に改善し、3カ月まで緩徐な改善がみられたものの、12カ月以内に72%が再発した
                (Pengel et al BMJ 2003)

・急性腰痛を罹患した患者さんの33%が1年以内に再発している
                (Stanton et al BMJ 2008)

これらから分かることは、急性腰痛は改善がみられるものの、再発する可能性も十分に考えられるということです。また、再発後は慢性化する可能性も示唆されています。

腰痛を慢性化させないためは、急性腰痛の時点でのリハビリテーションの重要性や身体機能面だけでなく、心理社会的な側面からの介入も非常に重要となってきます。

従来(2001年)では非特異的腰痛は85%、特異的腰痛は15%と言われていましたが、2016年の研究では非特異的腰痛は22%、特異的腰痛は78%という報告も出ています。

特異的腰痛の方が多いということは、腰痛は心理社会面だけでなく、身体的な原因の可能性も高いと示唆されます。

姿勢を含めた評価、治療が行えるように臨床経験を積んでいくことが大切です。