早期離床のリスク管理 −モニター、機器が少ない環境下−

早期離床のリスク管理 −モニター、機器が少ない環境下−

離床を阻害する因子

・意識レベルの低下

・疼痛(身体を動かすと痛い)

・めまい

・浮腫

・けいれん

・疲労

苦しい

 

今回は苦しいに着目して、離床時のリスク管理のポイントをまとめました

苦しい

離床時の”苦しい”の訴えは原疾患を疑う

◎呼吸(肺)

 喘息、肺炎(誤嚥性肺炎)、肺水腫、気胸

呼吸の早さ、胸郭の動き方、呼吸音の種類、呼吸様式(口すぼめ呼吸など)をチェックする

◎循環(心臓)

 心不全、不整脈、狭心症

浮腫の有無、手足の冷感、脈拍数、脈リズムをチェックする

アセスメント

視診時のポイント

呼吸補助筋の活動はどうか(斜角筋、胸鎖乳突筋)

呼吸パターンは正常か(胸郭の動き)

呼吸≠換気能力ではない

触診のポイント

呼吸数は正常範囲か

ラトリング(気道内に分泌物があると震えるように感じる)はあるか

SPO2は正常範囲か

【SPO2と血圧・痰との関係性】

 SPO2:肺炎では低下、心不全では低下なし

 痰:肺炎では粘稠性で増加、心不全では変化なし

 血圧:肺炎では増加(または変化なし)、心不全では低下する

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脈拍数は正常範囲か

【リズムから予測】

 心室性期外収縮:脈拍が1つ抜けたように感じる

   ☝️3連発は離床中止、完全房室ブロックとの見極めにはモニターが必要

 心房細動・頻脈:脈拍がバラバラのように感じる

 

心不全の兆候

・血圧低下

・尿量減少

・体重増加:1日で1.5kg±0.5kg 1週間で2〜3kgの増加

☝️特に尿量の減少には注意が必要、加えて手足の浮腫が出現してきた場合は心不全を疑う

手足の冷感の有無

浮腫の症状

脈拍は触知できるか

【動脈触知と血圧の関係】 💡計測するよりスピーディーで正確

 橈骨動脈:80mmhg以上

 ・大腿動脈:70mmhg以上

 ・頸動脈 :60mmhg以上

聴診時のポイント

 正常と比べ、低い音なのか高い音なのか判断できれば症状を推測できる

 ・低い音痰の貯留を疑う (ゴロゴロやブツブツ音)

  ⇨吸引

 ・高い音喘息、狭窄を疑う (ヒューヒュー音)

  ⇨喘息であれば服薬、狭窄であれば異物の除去

 

●離床時のフィジカルアセスメントからリハビリの中止基準

・血圧が80mmhg以下 ⇨ 橈骨動脈の触知困難

・SPO2が90%以下 

 

●急変時の対応と報告内容

 ・意識・呼吸・循環の3点(具体的な所見と数値)を伝える

 ・普段との違いを伝える

 ・症状の変化と時間経過を伝える

☝️リスク管理で一番大切なのは”普段との違いを感じる”ことです

 この感覚を養えるかどうかで臨床場面で早期発見・対応力が変わってきます

 他職種からの信頼を勝ち取るためにも”普段との違い”に気付けるようになりましょう

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