脳卒中のリスク管理 初級編

脳卒中のリスク管理 初級編

急性期のリスク管理

超急性期では脳血流の保護と改善が最優先となります。

脳血流量への影響を病態や治療経過から推測できるかがポイントとなります。

そのため、状態が安定していない中での離床や運動による労作が全身状態に及ぼす影響について把握し対応できるスキルが急性期のリスク管理では求められます。

つまりは、脳血管障害の病態や急性期の脳循環の特徴を把握し、脳血流量を保護しつつ、廃用症候群や合併症を予防し、早期から安全にリハビリテーションを行う

・・・と言うのは簡単で、当然のことながら医師の指示や看護師の協力あって安全なリハビリは成り立つものです。

病態を把握し、リスク管理をしながら早期の離床や可及的にリハビリの内容を変化させADLを上げていくことを目標にすることが必要となります。

早期離床で注意すべき点

注意すべき合併症として、糖尿病高コレステロール血症の合併症では脳卒中を引き起こしやすく、麻痺症状が進行しやすいとされています。 

はじめに、脳血流の保護と改善の話しをしましたが、血圧や心拍数はその指標となります。

【血圧低下に伴う脳の虚血症状】

・生あくび ・目がチカチカする、かすむ ・吐き気、気分不快 
・冷や汗 ・耳鳴り ・麻痺が悪化する ・反応が悪くなる、発語が減る などが挙げられます。


【心拍数が上昇する原因】

・一回心拍出量の低下
 心不全(安静時の心拍数の上昇)、脱水、不整脈  

・発熱、炎症 

・貧血

・低酸素血症

・運動

・精神的な要因(恐怖心や怒りなど) などが挙げられます。

NIHSS

進行や再発が疑われたときのツールとして、NIHSS(National Insitutes of Health Stroke Scale)があります。

予後との関連性も高いとされており、臨床で比較的簡単に評価できるため、知っておいて損はないと思います。

脳卒中といっても、脳梗塞や脳出血、クモ膜下出血など、それぞれの病態を把握、理解することが安全なリハビリを行う上では必要不可欠です。

そして、運動療法の中止基準を知っておくことも大切ですが、バイタルサインの変動に伴った神経症状や状態の変化に対して敏感に反応できることが極めて重要になってきます。

つまりは、患者さんのちょっとした変化を感じる力を養うこと

《経験あるのみ》ですが、日々の臨床から意識することによって、その積み重ねが対応力に変わるはずです。

ひとつ、ひとつのできごとを大切にしましょう。