促通反復療法 -一度は聞いたことのある川平法とは?-
過去にはNHKでも取り上げられたことがある促通反復療法、別名「川平法」について紹介します
川平法とは
”脳卒中の後遺症などによる麻痺症状に対して、随意運動を実現するために必要な神経系を強化および再建することを目的に、各関節運動を50〜100回以上反復し、促通することによって効果を得る”
また、電気刺激療法や振動刺激療法などの併用によって、急性期や回復期、回復の速度が落ちるとされている維持期までの方々が対象とされています
努力運動のみ(促通操作なし) → 課題遂行型の治療 → 努力、努力のみ・・・ → 試行誤差あり
促通反復運動+努力運動 → 神経路の指定 → 試行錯誤なし
努力的な運動だけでなく、必要な神経路に導くために促通反復を行う
☝️強化・再建すべき神経路は大脳−脊髄前角細胞
「〜を〇〇して下さい」
↓(セラピストの説明・指示)
運動と同期した促通操作
↓ (神経路の指定)
選択的な運動下行路の興奮
↓(試行誤差なし)
意図した運動の実現と反復
↓
運動性下行路の強化・再建が可能
リラクゼーション重視の治療では意図した運動の反復が行われにくいため、治療成績が不良
☑️麻痺症状の回復を促通するためには
・大脳皮質から脊髄前角細胞
までの新たな神経回路の形成、強化が必要
→(随意)運動努力を伴わない治療は効果的ではない
・神経回路に選択的に意図した運動を実現、反復して効率よく強化する必要がある
・神経路の組み換えが行われる時期(急性期−回復期)に正しい感覚入力や運動にとらわれすぎず、可能な範囲で多くの強い刺激と意図した運動を反復する
・筋肥大による筋力増強を目的とした訓練と損傷した神経路の再建と強化を目的にした運動パターンとを区別する
促通反復療法との併用
振動刺激
緊張性振動反射(TVR)による痙縮の抑制
振動刺激を骨格筋に与えると筋紡錘Ia 群繊維の求心性興奮から被刺激筋に反射性の収縮が生じ、同時に拮抗筋に相反支配による抑制効果が生じる
対象の筋を伸長した状態で3〜5分の振動刺激を加えることでより高い効果が期待できる
40〜100Hzで筋緊張が落ちたと研究報告あり市販されている家庭用ハンドマッサージャーは50〜60Hzのため、市販のハンディーマッサージャーでも効果が期待できます
持続的電気刺激
大脳皮質への侵襲性の少ない刺激や末梢からの刺激は、大脳皮質の興奮水準を調整することができる
☑️促通反復療法と通常の治療
ADLの改善に対して、FIMを用いて反復促通療法と通常の治療を比較した研究があり、
下肢・上肢・手指に促通反復治療を行った全ての群で通常の治療群より優位のある改善が見込めたとの報告があがっていました(木佐俊郎、他:Jpn J Rehabili Med 48 : 2011)
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