呼吸器の基礎知識と聴診のポイント ー在宅でも求められる療法士になるためにー
呼吸の意義
呼吸の本質的な意味は、生体エネルギー代謝を回転させる
ことにあります。
細胞がエネルギーを生産するには酸素が必要であり、エネルギーを消費することで、二酸化炭素が発生します。
一般的な呼吸の特徴
呼吸数
成人で12〜20回/分
頻呼吸は24回/分以上
徐呼吸は11回/分以下
呼吸の深さ(換気量)
成人男性で約500mml程度
過呼吸は呼吸数は正常範囲で一回換気量が増加
※呼吸数も増加することもあり
減呼吸は呼吸数は正常範囲で一回換気量が低下
呼吸のリズム
呼気:吸気 ≒ 2:1
異常呼吸として
◎呼気の延長
は末梢気道の閉塞を疑う
◎吸気の延長
は上気道の閉塞を疑う
呼吸様式
男性・幼児・高齢者は腹式呼吸が優位
女性は胸式呼吸が優位
※年齢や性別によって呼吸様式は異なりますが、腹式、胸式どちらか一方というわけではなく、胸部や腹部は呼吸に伴って拡張するため、通常は混在した胸腹式呼吸となっています。
気管・気管支の役割
・粘膜から分泌液による吸入気の加湿・加温
・繊毛運動による異物の除去
✔︎ 気管の構造(成人)
直径:1.5〜2.5cm
長さ:10〜13cm
位置:第6.7頸椎〜第4.5胸椎
気管分岐部は胸骨角に位置
✔︎ 気管支の構造
右主気管支
25°の分岐角度をもち、太くて短い
そのため、異物が入りやすく誤嚥のリスクが高い
左主気管支
45°の分岐角度をもち、細くて長い
そのため、貯留物が溜まった場合、吸引チューブが入りにくく、無気肺のリスクが高い
聴診
肺の各ブロックと体表からの位置関係
胸骨角:気管支分岐部
(胸骨角は第2肋骨の高さに位置)
第4肋骨:上葉、中葉(左肺は舌区)の分かれ目
第6肋骨:前面の肺下端
(第6肋骨は剣状突起の高さに位置)
第8肋骨:側面の肺下端
第10肋骨:後面の肺下端
(第10肋骨は腸骨稜から頭側へ圧迫し、向かったときの最初の肋骨部)
第2胸椎:腋窩との水平線上に後面の上葉・下葉の分かれ目
聴診時の特徴
気管呼吸音:頚部気管上で聴診できる
呼気に強く
・長く、
空気がチューブ内を通るような荒々しい音が特徴
(呼気と吸気の間は明らかな音の切れ目がある)
気管支呼吸音:前胸部胸骨上、背部両肩甲骨間で聴診できる
呼気よりも吸気のほうがやや大きい
呼気時に中等度の風が吹くような音で呼気と吸気の間に休止期がある
(長さは吸気 ≒ 呼気)
肺胞呼吸音:胸壁正中部、肺尖区以外の肺野で聴診できる
吸気時に大きく、呼気では初めにしか聴こえず、音は弱く小さい(〜聴こえない)
静かな微風のような柔らかい音がする
安静換気では「スー」っという小さい音
※前面から下葉の音は聞けない、後面から中葉の音は聞けない
療法士はリスク管理をしながら離床させることができる数少ない職種です。
呼吸器の知識は在宅の場面でも非常に重要です。
-
前の記事
促通反復療法 -一度は聞いたことのある川平法とは?- 2020.01.27
-
次の記事
膝関節の機能障害 ー最適な運動療法の選択ー 2020.01.30