褥瘡の基礎知識 ー予防すること、原因を徹底排除ー
近年、在宅での看取りが国の方針として掲げられています。
そのため、介護度の高い方でも退院し自宅退院・・・なんてことも少なからずあります。
介護者が同居している場合は、保険施設に入所するにも待ち時間が非常に長いのが現状です。
在宅介護で最大の天敵は”褥瘡”です。
褥瘡とは
褥瘡 ≒ 床ずれ
褥=ふとん 瘡=きず
褥+瘡=布団に寝ている間にできるキズ というのが本来の意味合いです。
(※長く座っていてもなります)
ちなみに「褥創」ではないです。創=刃物によってできるキズのことを指します。
褥瘡は皮膚に接触する部分に外的な力が加わり、血液やリンパの流れが悪くなり、”不可逆的に阻血障害に陥った状態”です
これって褥瘡?と迷ったら
・体位を変えてみることで、30分前後で皮膚の色が元に戻るか
・指押し法、ガラス板法(透明のプラスチック板を使用)
発赤部分を3秒程度押し、白っぽく変化するか
→白くなる(反応性充血)場合は血管は壊れていないため、褥瘡ではないです。
→白くならない場合は血管が壊れているため、褥瘡と判断されます。
ガラス板法の方が皮膚を圧迫した時の色の観察がしやすく、活用されやすいです。
褥瘡になる要因
局所的な要因
骨突出、関節拘縮、汗や失禁による湿潤、浮腫
全身的な要因
自力での体位変換が困難、低栄養状態、加齢
社会的要因
介護力のマンパワー不足、情報不足(褥瘡に関する知識、使用できる制度など)
褥瘡の好発部位
褥瘡に関与する外的な力
圧力だけでなく、摩擦や剪断力といった外力も関与
これからが生じる原因は
・ベッド操作
・間違った体位交換
・寝具、衣類のシワ
・おむつの圧迫や厚くあてたガーゼ などが挙げられます
✔︎ 褥瘡の形状と外力の関係(示唆レベル)
・円形・・・圧迫が原因
・楕円形、馬尾型・・・圧迫+摩擦が原因
・線状・・・湿潤が原因
・地図状・・・複数の外力が原因
褥瘡の予防
・毎日の皮膚の観察、早期発見
・スキンケア(保湿)
・栄養管理
栄養状態の把握、口腔管理
・圧迫、ずれの排除
ポジショニング、安定した姿勢の保持
原因の徹底除去のために
褥瘡ができてしまった場合、褥瘡の形やその要因を考えることが重要です。
病院や施設では他職種と情報交換を行い、要因を除去しましょう。
在宅ではご家族の方への指導を忘れず行いましょう。
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